2024/07/31 23:56
パリでM&A関連の最前線で活躍していたヴィルジニー・オーブリオンは、「大自然の中で、体にも心にも優しいワインを造ってみたいという思いを抑えることができなくなり、すべてを捨ててボルドーに移りました」。醸造学校で栽培と醸造を修めた後の1989年、ドルドーニュ川右岸のオービ・エスプサ村に1920年から続くシャトーを譲り受ける幸運に恵まれ、自身のシャトーを設立しました。
創業直後から11ヘクタールの全面積でビオロジック栽培を実践し、2011年にビオディナミに転換しました。
「ビオディナミとは、ホメオパシーです。目的は化学薬品に頼ることなく自然免疫を強化することで、人間もぶどう樹も同じことです」。
「ぶどうの品質は、生物多様性によって決まると考えています。私は、馬、ロバ、ヒツジ、ブタ、犬、猫、ニワトリ、鴨、そして土の中の無数の小動物や微生物たち、畑に咲き誇る無数の草花たちと一緒に暮らしています。すべての生物は可愛いだけでなく、自然界の中でそれぞれの役割を持っています。ラベルにも描いた鴨は、お隣さんからいただいた卵を私がふ化させたもので、ミッシェルといいます(2枚の写真のどこかにもいます!)。小さな大自然である私のぶどう畑が、ミッシェルお気入りの散歩コースです」。
「果実味に満ち満ちたぶどうをそのままワインにするために、アンフォラを愛用しています。培養酵母や醸造用添加物は一切使用せず、ぶどうが自然にワインに生まれ変わるのを見守るだけです。SO2はビン詰めの前に極少量使用しています」。
2019年には、フランス農務省やINAO等のフランス当局が10年の歳月を経てヴァン・ナチュールを公式に定義・認可した、「Vin méthode Nature」にも加盟しました。
「ヴァン・ナチュールを長年愛飲しているお客さんからVmNのことを教えてもらいました。理念や手法を学び認証を受けたことで、SO2使用量の抑制と健全なワインの風味を両立できることに改めて確信を持てるようになりました」。
このシャトーは、高次元の生物多様性の確立、ビオロジック栽培&ビオディナミ、アンフォラの活用、最小限のSO2使用、高品質なワインといったヴァン・ナチュールのエスプリがぎっしり詰まっているため、ヴァン・ナチュール造りを志す未来の醸造家たちからの研修希望が引きも切りません。ヴィルジニーは「ワインを造っているすべての大陸から」毎年たくさんの研修生を受け入れ、家族と同じように接し、教えながら、全世界にナチュールの輪を育んでいます。